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オリフィア01

  • posted at:2012-09-29
  • written by:サクラ・エゾヤマ
 ─物語は産声を上げる

 ─物語は立ち止まる

 ─物語は走り出す



サクラ達が卒業試験を行っている処とは違う場所。
同じ世界なのか、違う世界なのかも分からない。
ただ、豊かな植物と小径がずっとまっすぐ先まで続いているだけの場所。
そこに上品な身なりの藤色の長い髪の毛をたなびかせた女が居る。

「…見失うところだった。」

彼女の傍らには小柄な少女が、女と手をつないで立っている。
頭からはぴんと伸びたウサギの耳とよく似たそれが生えている。
瞳はしっかりと見開かれているが、その焦点は合わずまるで人形の様でもあった。

呟いた後、女は満足げに微笑い少女をその場に座らせ、自分も横に腰を下ろす。
そうして少し経った頃だろうか、二人の男が女たちの下に駆け寄ってきた。

「オリフィア、こんなところに居たのか!突然姿を消したので心配したぞ。」
「お兄様…すみません。ですが、ここがどこか分かりました。」

オリフィアと呼ばれた女は兄を見上げニコニコと告げる。
二人の男は顔を見合わせ驚いた様子を見せた。

「本当か?それでここは一体…」
「そうですね…『狭間』とでも言うべきでしょうか。世界と世界の間にあるねじれた空間…の様な…。」
「なんと…くそ、そんな変な場所に迷い込んでしまったか…。」

オリフィアの説明に覆面の男は舌打ちし、悔しげに呟く。

「お父様はもどかしいでしょうか、まぁ…焦らず行きましょう。私は脱出方法を探します。」
「そうだな…俺も手段を探すとしよう。早速あたりを見てくるぞ。」

覆面の男…父親は植物が生い茂る中へ姿を消した。
残された兄はオリフィアの傍らの少女を心配そうに眺める。

「…オリフィア、マグノリアは……寝ているのか?」

兎耳の少女、マグノリアは先程まで開かれていた瞳を閉じ、オリフィアの膝にもたれ掛かって寝息を立てていた。
オリフィアは頷きマグノリアの頭をふわふわと撫でる。

「ええ、私と一緒に行動するうちに疲れてしまった様です。私を背に乗せて足になってくれていましたから。」
「そうか…うさぎになっている時は疲れにくいと言っていたが、知らぬ場所だとそうもいかないのだな。」
「もうすぐ目を覚ますでしょうね。」

オリフィアがそう言った瞬間、マグノリアはぱちりと瞳をひらき、低くなった視界から兄の足を見つけ起き上がった。

「ふあ…ユリシス様もいらっしゃったんですね…」
「ああ、マグノリアは随分頑張ったんだな。もう疲れは取れたのか?」
「はいっ、すっきりしてます!」

兄…ユリシスはその場にしゃがみこみマグノリアの頭を撫でた。
マグノリアは目をこすりながらユリシスに微笑みかける。

「さて…それでは今日はこの辺りにテントを張りましょうか。お兄様、宜しくお願いします。」
「そうだな。早速準備をしよう。」

オリフィアに促され、ユリシスは立ち上がり荷物のテントに手をかける。
しかしふとその手が止まり、ユリシスは背を向けたまま呟いた。

「……オリフィア、おまえ…ここがどこなのか、どうやって……いや、なんでもない。」
「私は夕食の用意をしますね。マグノリア、手伝ってくれますか?」
「はい!」

オリフィアは兄の言葉など聞こえていないかの様に、夕食を作り始めた。
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