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サクラ03

  • posted at:2012-10-16
  • written by:サクラ・エゾヤマ
*SIDE*サクラ・エゾヤマ

「調合時に材料の確認はしつこいくらいが丁度良い!基本だろう、馬鹿者が!」

レイヤ先生の怒声が頭上から降り注いでくる。
宿のベッドの上に横たわったあたしの手首を抑え、レイヤ先生はあたしに跨る格好でいた。

「す、すみません!でもレイヤ先生が具合悪そうだから急がなきゃって~…!」
「それで失敗してご覧の有様だろうが…ッ!」
「で、で、でもレイヤ先生すごいです、媚薬なんて飲んでこの鋼の精神!さ、あたしの手首離して下さい。ね?」
「貴様…」

レイヤ先生が苦虫を噛み潰したかのような声色のつぶやきをあげる。
この媚薬は人の心身に作用するもので、本人の意思を飲み込んでしまう程に強力な薬だ。
レイヤ先生は別に薬への抗体がある訳でも何でもない。
自分の体を勝手に突き動かそうとする何者かと必死に戦っているのだろう、眉間を寄せ辛そうな表情をしている。

「レイヤ先生、ふぁいとです!ふぁ、ふぁいとー!」
「………。」
「ふぁいと…、レイヤ先せ…ふぎゃ!」

自分でも無責任な応援だと思うけど、他にどうしようもない。
そんなこんなでふぁいとふぁいとと繰り返しているうちにレイヤ先生の身体がドサリとあたしの身体の上に落ちてきた。
どうやら元々具合が悪く体力が低下している状態で薬と戦っていたので、力尽きてしまったらしい。
潰された衝動で色気のない悲鳴が出てしまったが、そんなことはお構いなしにレイヤ先生はあたしの腰をなでてきた。
手首が解放されたので今がチャンスと思い、レイヤ先生の身体の下でもぞもぞ動き這いずり出る。

「いいぞ、そのまま逃げろ…!」
「はい…て、ちょっと!?」

言葉とは真逆に、上半身を起こしたレイヤ先生があたしの肩を思いきり掴み、ベッドに隣接している壁へとあたしの身体を押し付ける。
体重を乗せ両手でしっかりと抑えられた肩はあたしが押し返してもびくともしなかった。
突き飛ばせば逃げられるかもしれないけれど、レイヤ先生のもともとの体調と自分の過失故に起こったことなので、レイヤ先生へ危害を加えるというのは流石に出来ない。

「レイヤ先生、ストップ!ストップー!」
「サクラ…」

レイヤ先生の顔が近づいてくる。
どうなってしまうんだろう。
どうなってしまうんだろう…!?
パニックで思考が全く回らなくなったその時。

レイヤ先生の身体が突然、糸の切れたマリオネットの様に崩れ落ちた。
あたしの腹部に頭を乗せて完全に動かなくなったのだ。

「…レイヤ先生…ま、まさか死ん…」

真っ青になりつつレイヤ先生の顔元に手をやると、呼吸が確認できた。
気を失った様だった。
あたしは大きく深呼吸をすると、レイヤ先生の身体を転がしてベッドに寝かせ、そぅっとそこから降りる。
レイヤ先生の体力が通常通りだったら本当にやばかった。

部屋から出て、自室へのろのろと戻っていく。
自室でベッドを見た瞬間、間近に迫ったレイヤ先生の顔を思い出し、カーッと熱くなった身体を冷ますように大きく窓を開けた。
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