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サクラ09

  • posted at:2013-03-31
  • written by:サクラ・エゾヤマ
*SIDE*サクラ・エゾヤマ

あたしの手を引きながら前を歩くレイヤ先生を、後ろからじっくり見てみる。
あのことがなければ、この大きな手も、案外広い背も、気づかなかっただろう。

レイヤ先生の耳の先は少しだけ紅潮していて、それが外の寒さの所為なのか、違う何かに因るものなのかは分からない。

ふと思い出す。
深雪ちゃんを庇ってあたしが大怪我をした時に、助けてくれたのはこの手だ。

面倒とかどうでもいいとか言いながらも、この人は結局いつもあたしを助けてくれる。
セツカさんが怪我をした時もそうだ。
ユカラ君以外の他人に関わらないスタイルを貫いている様な振りをして、本当はそうではないのだと思う。


─もう少しだけ、この人の事が知りたい。



「は!何を今考えてたのあたし!ないない!ない!!!」
「…?なんだ一体。」

自分の思考がおかしな方へ進んでいるのに気づき、あたしは思わず大声をあげる。
レイヤ先生が思い切り怪訝な顔であたしを睨む。
はい、今のはあたしがおかしいです、行動も思考も。

慌てて「ちょっと錬金術の調合について考えてました」…と誤魔化すと一応納得してくれた様だ。

園内の一通りのアトラクションを体験した頃にはもう日がすっかり傾き、空は美しいあかね色のグラデーションを描いていた。
レイヤ先生が案内の紙に目をやる。

「ふむ…あと残っているのはナイトパレードとやらだな。」
「ナイトパレードですか…それは楽しみです。どんなのかなぁ。」

ナイトパレードというものは初体験ではない。
故郷のジェイド王国が復興した時に昼から晩まで王族達の凱旋パレードが行われた。
電飾を華美にまとい音楽と共に夜の街を進んでいくあの光景はまだ幼かったあたしの記憶にも強く残っている。

「ナイトパレードとはそんないいものなのか。…説明によると…ちょうどこの辺りスタートらしいな。」
「じゃあ始まるまでここで待ってましょうか。ベンチも空いてますし。」

そう言い、レイヤ先生の手をひきベンチへ移動する。
二人ならんで座るが、どうにもうまく会話ができない。
いつもなら錬金術のことを話していれば時間なんて勝手に過ぎていくのに。
今日は不思議と錬金術の話をする気にはなれなかった。

10分か20分か、そのくらい待った頃、日没を終え暗くなった園内でナイトパレードが開始された。
光と闇が織り成す幻想的な風景にあたしは地が足についていないかの様なフワフワとした感覚を起こしながらも、パレードをぼんやり眺める。

「…今日は楽しかったか?」

レイヤ先生が同じようにパレードを見ながら、つぶやく。
ちらりとレイヤ先生の方を伺うと、あたしからの視線に気づいたのかレイヤ先生も視線をこちらに向けてきた。

「…はいっ。」

あたしは笑いながら、そう答えた。
レイヤ先生も、微笑んでくれた気がした。
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