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サクラ16

  • posted at:2013-04-13
  • written by:サクラ・エゾヤマ
※レイヤ(656)の日記とリンクしています
※前回からの続きです

*SIDE*???─3年前─

エピローグ




‘僕’が目を覚ました時、見知らぬベッドに寝かされていた。
木で組まれた質素で無愛想な天井が視界に入る。
ふっと顔を横に向けると、知らない男がこっちを見ていた。

途端。
フラッシュバックする。

貴族の奴隷として過ごした日々で植えつけられた記憶が、気色の悪い感覚が大きな波となって僕へと押し寄せた。

「う、うわぁあああああああああああああああー!?」

嫌悪からの叫び声をあげ、僕はベッドの端へと逃げる。
そこは逃げ場などでは無いとわかっているのに、少しでも男から離れたかった。

「…おい、助けてやったのに失礼だぞ、貴様。そんなに脅えなくても、取って食ったりしない。すこし待っていろ。」

男は一度奥へひっこみ、そして皿に盛られた林檎をもってきて僕に差し出す。

「ほら、食え。腹も丸2日寝ていたんだ。腹も減っているだろう。…あいにく、今家には林檎しか食いものが無いんでな。」

ベッドの上に置かれた林檎を目前に、僕は混乱していた。
何故この男はこんな真似を?
そもそも一体これは誰なのか。
貴族の屋敷から逃げ出してから起こった出来事があまりにも多くて僕の脳は状況を整理できないでいた。
そうしているうちに男が林檎を掴み、食べてみせる。

「…なんだ、林檎の食い方も知らんのか?齧るだけだ。それなりに美味いぞ。」

林檎くらい、僕だって食べたことがある。
奴隷になる前、そして奴隷の間もたまに与えられたものだ。
食べ物という認識をしたせいか、僕の胃袋が反応をしたのを感じ、僕は怖々と林檎をひとつ手に取り、齧り付く。

「…美味しい。」
「そうだろう、俺様の研究時の主食だからな。」

─研究時、と言った。
この男は何者なのだろう。
学者だろうか?
そんなことをぼんやり考えながら林檎をただ貪る。
その林檎がなくなった頃、僕の様子を眺めていた男が再び声をかけてきた。

「で、貴様。名前は何と言う。」


名前。
ナマエ。
ボクノナマエハ─

「…名前を聞いただけでそんな脅えた顔をされるとはさすがに思わなかったぞ。別に言いたくなければ言わなくても良い。呼ぶ時に不便なだけだからな。」

この男は僕を助けてくれた。
だから質問には答えなければならない。


「34号…」


僕はくちにした。
名前…いや、識別ナンバーを。
僕が妹と一緒に奴隷商に買われたあの日から、それが僕の名前だった。
本当の名前はなんだっただろうか。
それはもう遠い記憶の彼方だった。

男は意味を察したのだろう。
厄介なものを背負い込んだと思っているかもしれない。
早々とここを出た方がいいだろう。

そう思った時、男が再びくちをひらいた。

「余計わかりづらいし、そんなものは名前とは言わん。もういい、俺様が貴様の名前を勝手に呼ばせてもらう。…そうだな、貴様の名前は「ユカラ」だ。これから、俺様は貴様をユカラと呼ぶ。有り難く思え。」

「…ゆから?」

僕が目を丸くして聞き返すと男が頷く。

「そうだ、ユカラだ。…お前が今後、どうしたいかは自分で決めろ。何処か行きたい場所があるならいけばいいし、ここに居たいなら…置いてやる。」






これが、僕と兄上の、出会い─
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