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レイヤ14

  • posted at:2013-04-13
  • written by:サクラ・エゾヤマ
*SIDE*セツカ

ユカラが生き別れた妹として連れて来たウサ耳の少女、マグノリア。
彼女を見た時、一瞬、心臓が止まるかと思った。

昔、助けられたかった一人の少女。

その子は、ユカラにそっくりで…俺は、一時期その子にユカラを重ねていた。

そして、そのマグノリアは…ユカラにそっくりだった。

さすがに、そんな事は無いと思う…が、フィーの件もあり、どうしても思いだしてしまう。

あの、ジェイド王国騎士団最大の犠牲者を出した痛ましい事件を…。





*SIDE*セツカ-3年前-

月すらも雲に隠れた…暗き夜。

俺は任務でジェイド王国の隊長…アラン・クレイドと共にとある森の中にある貴族屋敷を強襲していた。

ジェイド王国は復興して間もない国…いまだに従わない地方の貴族等は勿論存在する。
無論、無理やり従わせる意志は王や王女には無く、恭順を示してきた貴族達だけ国へと組みこむ政策を取っていた。

だが…非人道な行為、犯罪行為に手を染めている場合は話は別だった。

ここの貴族は奴隷商人や人攫いの山賊や盗賊と繋がっており、人身売買を行っているという密告があり、調査の結果その裏が取れた。
最初は話し合いの場を持とうという案もあったが、元・山賊のアラン隊長に言わせれば

「んなことやってる間に証拠なんて消されちまうし、賊もどっか逃げちまうって。一気に差し押さえるのに限る。」

との事なので、ジェイド騎士団の一団で強襲することに決まった。

のはいいんだが…。

「目立つからって、俺と隊長の二人で制圧ってさすがに無茶じゃないか?これ。」

騎士団で動くと目立つので、過半数を屋敷より少し離れたところに駐屯させ、討ち洩らしを召し捕ってもらい、屋敷の制圧は隊長のアランと副隊長の自分で行う…。
隊長が立てた作戦なんだが、隊長いわく「全力で暴れて他の奴が一緒に怪我したらまずいからな」
との事なんだが、俺はいいんですか。そうですか。

と、愚痴りながら裏門付近で隠れながら先に突入して暴れ出す予定の隊長を待つ。

すると、裏門付近が急に騒がしくなってきた。
…隊長が暴れ出したにしては様子がおかしい、と思っていると裏門から誰かが走り抜けていくのが見えた。
そして、それを追って何名かの傭兵らしき人影が飛び出してくる。

どうやら、誰かが屋敷から脱走したらしい。
…このまま、隊長が暴れ出すのを待つか、今の人影を助けに追うか…

考える前に、走り出していた。



全速力で走り、人影に追いつこうとしていた傭兵を後ろから容赦なく斬り倒す。
何か叫んでいるが、人身売買等に関わっていた輩に何かを配慮するつもりなどない。

そして、その斬り倒した傭兵の先に一人の人影…白い髪の…少女だろうか、がこちらを座り込みながら茫然と見ている。

ボロボロの服に、傷だらけの身体。

見ているだけで目を背けたくなるような少女の状態に胸を痛めつつ、優しく声をかける。

「大丈夫か?・・・屋敷から逃げ出してきたんだろう?俺は、・・・王国の騎士で、名前は・・・って、おい!」

そう言いながら近づくと、少女は反射的に逃げ出そうとしたのでその腕を掴んで留める。

「ちょっ、いきなり逃げ出すなよ。今、ここを勝手に動きまわったら危ない…」

すると、少女は取りみだしたように叫び声をあげて俺から離れようとする

「やだ、嫌だ、怖い、来ないで、嫌だ、気持ち悪いのはもう嫌だ、痛いのも嫌だ、嫌だ、来ないで、嫌だ」

その様子見て、少女がどのような境遇で、どんな目に遭ってきたをなんとなくだが、察してしまう。
その相手に怒りの感情を抱きつつ、だが今は少女を落ち着かせる為に全力で逃げ出そうとしている少女を引きよせ、抱きしめる。
抱きしめた後も、腕を引っ掻いたり叩いたりして暴れ続ける少女を優しく撫でる。
少しの間、撫で続けていると少女の抵抗も弱くなってきた。

「大丈夫だ、俺は、お前に何もしない。お前が俺に何をしても俺は決して何もしない。」

そう声をかけると、完全に少女の抵抗がなくなった。

「俺が必ずお前を守ってやるから。大丈夫だ。だから、もう安心しろ。」

少女に声をかけ続けると、初めて少女が口を開く。

「・・・本当に?痛いことも、気持ち悪いことも、しない?」

か細い声を上げながら此方を見上げてくる少女に優しく微笑みかける。

「ああ、しないさ…と言っても、すぐには信用できないかもな…。そうだ。」

不安そうな少女を安心させるために、腰につけてあった薔薇の彫刻が入った短剣を手に取り、それを少女にそのまま手渡す。

「もし、俺が何かしようとしたらその短剣で刺せば良い。…まあ、するつもりはないけどな。護身用にもなるし、持っといてくれよ。」

短剣を片手に困惑している少女に、そう言った後…さっき来た屋敷の方に目線をやる。
何人かの足音…隊長が暴れ出して逃げ出した輩か、それとも俺が斬り倒した傭兵の帰りが遅いからさらに追手を差し向けたか。

何はともあれ、戦闘に入ったら少女が流れ矢で傷つく可能性がある。
それは避けなければならない。

抱きしめていた少女を離し、自分たちの騎士団が待機している駐屯先を指さす。

「この先に、俺の仲間が簡易キャンプで待機している。そこまで行って、そのナイフを見せて事情を話せば、保護してくれる。ここに居たら万が一、巻き込まれるかもしれないから。」

それを聞き、不安そうにしている少女の頭をゆらゆらと再び撫でる。

「大丈夫、俺の仲間もお前に何かするような奴は居ないさ。居たら、俺がとっちめてやるからさ。」

そう言うと、少女は意を決したようにこくんと頷いた。

「それじゃあ、また後でな…走れ!」

少女が走り出したのを確認し、それはとは反対の方向に走り出す。

これ以上、あの少女のような被害者を出さない為に…あの少女を守るために!

-何時の間にか、緑の瞳だった彼の瞳は鮮やかな紅と紫に染まっていた-



*SIDE*ティヒア

-ジィエイド騎士団の駐屯所。
テントの中に居る一人の少女に、ある女騎士が声をかける-

「もう、大丈夫。ここなら、安全よ?」

先ほど保護された少女に暖かい飲み物を渡しながら声をかける。

自分がこの少女の担当に当たっているのは、男性が多い騎士団の中でも数少ない女性で、警戒心を解く為と言う配慮だろう。
…もっとも、騎士としては新米の自分が戦力的に宛てにならないのも確かだけど。

「ありがとう・・・お姉さんも、騎士?」
「ええ、そうよ。珍しい?女性の騎士なんて。」
「ええと・・・」

最初は不安そうにしていた少女も、根気よく話しかけているうちにちゃんと向こうからも話題を振ってくるようになった。
もっとも、興味があるから聞いている…ぐらいなのだろうけど。

「うちの国は最近復興したばかりで、あまり人手が足りないのもあるんだけど、やっぱり珍しい方かしらね。
・・・後方支援ぐらいなら、私みたいな女性でもできるかなって。それで、騎士になったの。・・・それに、憧れてる人も居るから、目標はその人だけの騎士になることなの。」

ピンクの髪の縦ロールをした自分の憧れの女性を思いだす。
そうだ、今度は彼女についてこの子に話してあげよう…と話しだそうとした時、テントの外が急に騒がしくなる。
もしかすると、アランクソ隊長や、セツカ副隊長が打ち漏らした賊が出始めたのかもしれない。

「・・・何かあったのかしら、ちょっと待っててね。」

テントから少し顔を出し、様子を見るとそこには、一人の男が同僚の騎士に囲まれていた。
顔はターバンをしていてわからないが、その身体つきから男性だと言う事はわかった。
そして、ターバンから覗く金色の目が怪しく光っている。
その口から低い…そう、まるで地獄の底から産まれたような声が紡がれる。

「この辺りで、気配を感じたんだがなぁ。・・・忌々しいあの女・・・まさか、別の平行世界に逃れていたとはなぁ…だが、ようやく…ようやくだ」

「おい、お前!一体、ここで何を・・・」

独り言をつぶやく男に、同僚の騎士がしびれを切らしてその肩を掴もうとすると

ターバンの男から黒い霧…あれは、瘴気というのだろうか?が漏れだして肩を掴もうとした騎士が弾かれる。

「誰が持っているかわからんが、まあ、この付近に居る人間を皆殺しにすれば誰か持っているだろう・・・我が民達よ!」

男が手をかざすと、地面に魔法陣が現れ、そこから武器を持った数人の人影が現れる。

「死ぬが良い。」

そう男が宣言した瞬間、その人影は同僚の騎士達に襲いかかって来た。
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