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レイヤ16

  • posted at:2013-04-13
  • written by:サクラ・エゾヤマ
前回からの続きです

エピローグ



*SIDE*レイヤ・センドウ

俺様は今、例の血塗れで倒れ込んできた「少年」が寝ているベッドの横で参考書を読んでいる。

処置を施してからまる2日。

瀕死どころか、息絶えていた彼に処置を施し、身体を洗ってやり(最初は少女だと思い、多少抵抗感があったが少年だと分かったので洗ってやった)、清潔な服に着換えさせた。
だが、まだ目は覚まさない。
ただ、寝息は聞こえてきているし、肌の色も悪くは無い。

何よりも、自分の錬金術の腕に絶対の自信を持っているので、不安は無いのだが・・・。

「・・・まさか、何処かで調合を間違えた・・・わけはないな、うむ。」

だが、やはり初めての調合物なので、少しばかり心配はあった。
だが、独り言をつぶやいている中、少年から「んん・・・」と声が聞こえたので、そちらに視線を向けた。

「・・・ふむ、ようやく目を覚ましたようだな。」

うっすらと目を開けた少年を見て、俺様は自分の研究が成功していた事を知って満足気に頷いた。
少年は、何が何やらわからないような顔をした後に・・・

「う、うわぁあああああああああああああああー!?」

叫び声を上げて、ベッドの端に逃げた。
そして、布団をひっつかみながらブルブル震えている。
…おい、俺様はそんなに恐ろしい顔でもしていたか?

「・・・おい、助けてやったのに失礼だぞ、貴様。そんなに脅えなくても、取って食ったりしない。すこし待っていろ。」

脅えている少年をそのままにして、俺様は奥へと引っ込み・・・リンゴを皿に盛って持ってきた。
勿論、洗っただけで剥いてはいない。

「ほら、食え。腹も丸2日寝ていたんだ。腹も減っているだろう。…あいにく、今家には林檎しか食いものが無いんでな。」

なんせ、俺様自身も丸3日ほど水と林檎以外口にせずに調合をしていたからな。
買い出しに行っていなかったのはさすがに失敗だったが。

ドンっと少年の前に林檎の皿をベッドの上に置く。
まだ脅えながら、少年はその林檎を眺める。

「・・・なんだ、林檎の食い方も知らんのか?齧るだけだ。それなりに上手いぞ。」

俺様は皿に盛られた林檎を手に取り、しゃりしゃりと齧りはじめる。
うむ、悪くはないな。
それを見て、少年はおそるおそる林檎を手に取り、ゆっくりと口元に運び林檎を齧る。

「・・・美味しい。」
「そうだろう、俺様の研究時の主食だからな。」

林檎は皮を剥かずにそのまま食えるのが良いな。
少年は無言で林檎を齧り続けている。

皿から林檎が無くなる頃に、俺様は少年に話しかけた。

「で、貴様。名前は何と言う。」

名前を聞かれ、少年がびくっと身体を震わせる。

「・・・名前を聞いただけでそんな脅えた顔をされるとはさすがに思わなかったぞ。別に言いたくなければ言わなくても良い。呼ぶ時に不便なだけだからな。」

さすがに、俺様が自分を助けてくれたと言う事がわかってきたのか、少年は脅えながらも自分の名前を口にした。

「34号・・・」

その言葉を聞いて、若干顔をしかめる。
その言葉の意味は、少年が何処かの奴隷であったという証。
そして、ここに居ると言う事はどこかから逃げ出して来たのだろう。
…面倒な事だな、と頭の中で溜息をつくが、乗りかかった船だ、この際関係無いと気を取り直す。

「余計わかりづらいし、そんなものは名前とは言わん。もういい、俺様が貴様の名前を勝手に呼ばせてもらう。・・・そうだな、貴様の名前は「ユカラ」だ。これから、俺様は貴様をユカラと呼ぶ。有り難く思え。」

「・・・ゆから?」

捲し立てるようにそう言われ、少年・・・ユカラが目をまんまるにして聞き返してきた。

「そうだ、ユカラだ。・・・お前が今後、どうしたいかは自分で決めろ。何処か行きたい場所があるならいけばいいし、ここに居たいなら・・・置いてやる。」

ゆっくり考えておけ、と俺様は皿を片づけて奥へ引っ込む。
…自分でも、らしくないと思うが…ええい、やはりらしくない。

そして、少年の元に戻ると少年の目からはとめどなく涙が流れ落ちていた

「お、おい、何を泣いているか、きさ・・・ユカラ。」

とりあえず何処か痛いのか!?とあわてる事になったが別にそういうことではないらしい。

そして、ユカラはこの家に残ることになった。
ユカラ・センドウ・・・レイヤの弟として。


  ◇
  
  ◇
  
  ◇

随分、ユカラも俺様に慣れてきたので、あの夜の事を1度だけ聞いてみた。

だが、ユカラは瀕死の重傷を負ったショックか、あの夜の事をおぼろげにしか覚えていないようだった。

ただ、自分が逃げ出したことと、騎士に助けてもらったこと。

その騎士も騎士、とわかるだけでどんな騎士かなどはわからないらしい。

あの魔法生物は一体なんだったのか、何故ユカラが追われていたのか、結局わからずじまいだったが、あれ以来特に変わったことは無い。

またやってきたら、今度はきっちり研究材料にしてやろうと思ったのが、少し残念だな、うむ。
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